神社に参拝してはいけないときがある 服忌入門

死の穢れを外に出さない

黄泉の国に行った伊邪那岐命は地上世界に戻ってきた際、死の穢れを祓うために禊ぎを行いました。このように神道では死も穢れと考えます。「喪に服す」という言葉を聞いたことがあると思います。近親者の死は悲しく辛いものですが、古くより日本人はその悲しみから立ち直るため、また死の穢れをほかの人に与えないように一定の期間を設け、外出を控え、身を慎むようにしました。これを服忌と言います。

服忌の「忌」とは、死の穢れから外に出ることを控える期間です。また「服」とは服装のことを差し、身を慎む期間をいいます。

なぜ忌の期間中に外出を控えるのかというと、神道では穢れに直接触れなくても、穢れに触れた人に触れると穢れがうつると考えられたからです。これを「触穢」と言います。昇殿参拝の祭にお祓いを受けるのは、穢れに触れた記憶はなくても知らず知らずのうちに触穢をしている可能性があるからです。

また穢れは「気枯れ」からきた言葉とも言われ、精神的にも体力的にも弱っている状態の際に、無理な行動をしないようにしたとも考えられています。

神社に参拝してはいけない忌の期間

神社では近親者が亡くなった場合、その血縁関係の遠近によって忌の期間が決められており、最長で50日間です。この忌の期間は神社にお参りに行くことは控えなくてはいけません。一方、神道において、服の期間は特になく、心情に合わせての期間となります。神社でのお祓いやお祝いなど、忌の期間が明ければ、参加しても問題ありません。現在でも近親者が亡くなった場合に年賀状を控える風習は、この服から来ています。神社においては服の期間が明治時代の太政官布告で定められていますが、現在では仏教に則って、概ね1年間とするのが一般的なようです。

かつては忌の期間には門を固く閉ざして人と会うことを避け、外出することも許されませんでした。現在では忌の期間中は、神社の境内に入ることやお祭りの参加などは行わず、祝賀会や旅行も控えましょう。また結婚式などの慶事は忌明け以降に延期します。また家の新築や増改築などの大きな買い物も控えます。また神棚がある場合には、扉を閉めて正面に白い紙を貼って覆い、忌明けまでお供えやお参りをしないようにします。どうしても神社の境内に入らなくてはならない事情がある場合は、神社に問い合わせをしましょう。

忌の期間

1親等

父母 50日間
夫 30日間
妻 20日間
配偶者父母 30日間
嫡子 20日間
末子 10日間

2親等

祖父母 30日間
兄弟姉妹 20日間

3親等

曾祖父母 30日間
伯叔父母 20日間
甥・姪 4日間

4親等

いとこ 3日間