手水【神社の作法】

神話が起源の禊の簡易版

手水の作法

  1. 最初に右手で柄杓を持ち、水を入れ、左手を洗い清める。
  2. 柄杓を左手に持ち替え、右手を洗い清める。
  3. 再度柄杓を右手で持ち、左手に水を入れる。手から口へ水を運び、口をすすぐ。柄杓に直接口を触れてはならない。
  4. 口に触れた左手を洗い清める。
  5. 柄杓を立て、柄の部分を洗い清める。最初に入れた水ですべてを行うとCool!

神話が起源

神社にお参りをするときに、最初に行うことが「手水」です。参道の途中にある手水舎で手を洗い、口をすすいで清める儀式です。

神道では、人はもともと穢れのない状態で生まれてくると考えます。しかし、生活の中で知らず知らずのうちに穢れを身につけてしまうとされています。

「古事記」と「日本書紀」をまとめて「記紀」と呼びますが、この「記紀」に登場する伊邪那岐命(いざなぎのみこと)が黄泉の国から帰った際に、死の穢れを祓うために「筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原」という泉で体を洗いました。天照大神をはじめとする神々が、この禊によって誕生します。

禊は穢れをリセットするだけでなく、生命を再生するものとして描かれています。

お風呂を簡略化したもの

神社にある斎館には潔斎場があります。お風呂のことです。神職は、大事な祭祀の際には体を洗い清める禊を行います。古い神社では、湯船に入ると汚れを流せない、つまり穢れを祓えないため、浴槽がない場合もあります。

参拝前に行う手水は、この禊を簡略化したものなのです。

手水

手水では、左手、右手、口を順に洗い清めます。最後に柄杓を立て、水で柄の部分を洗い流します。次の人に対しても柄杓を清潔に保つようにするためのマナーです。

日本人は家に帰るとまず、うがい、手洗いをするのが一般的です。欧米などでは屋内でも靴を履いたままで、家と外の区別があまりないため、手洗いを行う文化がありません。

また、日本では仏教の葬儀の後でも家に入る前に塩で清めます。穢れを家に持ち込まない文化は、神道からきているのです。